今までの「座談会」、「交流会議事録」で記録の残っている内容をカテゴリーに分けてまとめました。
法的に問題となる事例や、解決に至らないことも含まれています。また他所で解決しても皆様にとって相応しい方法であるかはよく検討してください。
世田谷区や、交流会としては、皆様の結果については責任を負うことができません。あくまでも羅針盤として用いてください。
居住用の区分所有財産の評価方法が変わっています
2024年に「居住用の区分所有財産」すなわち「分譲マンション」の評価の計算方法に変更がありました。元々はタワーマンションの資産を補正する計算がありましたが今年に再度修正され、中規模マンションであっても築年数が少なかったり、敷地権割合の少ない大規模マンションも補正されて、居住用の区分所有マンションの評価額が変わって、相続(贈与)税が発生する場合があります。
区分所有マンションは、敷地権割合で土地が付いているために、建物面積に比べて小さな土地に建物あるような形になっています。特にタワーマンションなどでは、わずか数平米(一桁台)の土地に固定資産税、相続(贈与税)が計算される仕組みになっています。ただし、これでは敷地100%との一戸建て、1棟ビルとの税制の不公正さが顕著とみなされ「区分所有補正率」という考えが導入されました。今は相続(贈与)が発生したときに当該評価が適用されるようです。
詳しくは、国税庁ホームページ:No.4667 居住用の区分所有財産の評価を参照ください。
- 居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書(令和6年1月1日以降用)【計算ツール】(Excelファイル/25KB)
- 居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書(令和6年1月1日以降用)(PDFファイル/340KB)
管理組合の自立を阻害する外部管理の危険性
~管理業者社員が理事長になることの弊害~
世田谷区マンション交流会は、管理業者の社員が外部管理者となる制度をお勧めしません。
国土交通省より令和6年6月7日に「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」が改定されました。元々は平成29年6月に初版が発行され、就任できる外部管理者は「マンション管理士」「弁護士」「公認会計士」など、マンション管理組合に寄り添う士業の方を想定し、理事、理事長に就任できるものとしておりました。
しかしながら、実際には管理業者の社員が外部管理者になるケース(管理業者管理者方式)が散見され、今回のガイドラインの改定となりましたが、管理業者管理者方式の問題点を認識しつつも、具体的な規制には至っていません。
管理業者管理者方式によって、管理組合が主体性を持った運営ができなくなる恐れがあります。
管理業者と管理組合は、利益が相反する関係にあるため、管理組合の財産が適切に管理されないリスクがあります。皆様のマンションには管理費の出納、修繕計画の立案、日々の清掃、点検、設備の修理、および大規模修繕など多くの経費が必要です。管理組合が主体性を持っていないと、管理業者が自前で発注し、昵懇としている工事業者に修理を依頼します。当然にそこに付加コストがついて管理業者の利益となっています。管理費や修繕積立金は、いわばマンションの共有財産です。これを管理業者の社員が自由に使える状況は、決してあってはならないことです。
区分所有者の無関心を招き、管理業者にとって利益に出ない管理組合には、突然の管理放棄(管理受託契約の終了)をする可能性もあります。
座談会・みんなの相談会アーカイブ
令和6年7月13日 開催座談会「管理会社との付き合い方」の要約
管理会社からの提言や情報提供不足に不満を持っていることがある。一方それを受け取る管理組合側も理事の交代で情報の継続性や、専門知識の乏しさから、提言への理解不足がある。理事は任期の間に何も起きないようにと思う責任意識の低下も災いしている。
• 管理組合が主体的に管理を行い、管理会社は管理組合を補佐するという位置づけ
• 理事は専門知識を持つ人材を積極的に登用すべき
• 管理組合のHPやSNSを活用して、住民向けの情報公開をする。適宜に説明会を開催し、理解と協力を得る。
• 役員の報酬制度や研修制度を必要性
今後の課題
• 管理会社との適切な関係構築
• 役員の役割と責任の明確化
• 管理組合の活性化
区分所有者の意見を集約して、理事会が主体的になって、定期的に管理会社を評価し、業務の線引を見直すことが重要である。
フロントマンの資質は多分に属人的なところがあるが、上長とのコミュニケーションを密に取ることで、管理会社の業務品質を維持することができる
• 管理会社のフロントマンの資質
• 管理会社の体制
• 管理組合と管理会社のコミュニケーション
• 管理委託契約書の重要性と、読み解く力
• 管理会社の評価方法
令和6年3月16日 開催座談会 1班「管理組合運営の問題」の要約
- 管理会社の選定と評価:
・管理会社の良し悪しの評価は、レスポンスの速さ、担当者の質、費用対効果など、多岐にわたる。
・管理会社とのコミュニケーション不足や、サービスの質に不満を感じる意見が多かった。
・ 管理会社を変更する際は、慎重な検討が必要であり、時間と労力が必要
・コンサルタントに依頼し、客観的な視点から評価を行うことも有効 - 理事会の運営:
・ 理事会の役割は重要だが、
・ 理事の任期や選出方法、人材育成など、様々な課題が浮上 - 理事会の運営:
・ 理事会を活性化させるためには、若手区分所有者の参画を促したり、専門家の意見を聞く必要がある。
・理事の任期や選出方法について、人材不足や高齢化が問題となっている。輪番制、交代制、専属化しているなど、それぞれの弊害の意見が出された
・理事の知見、知識を得るための支援、理事会の運営を効率化するため方策の必要性が指摘された。 - 管理費の設定:
・管理費の適正な額設定は、区分所有者間の意見が分かれる難しい問題。
・大規模修繕や建物の老朽化に伴い、管理費の見直しが必要となる
・区分所有者への丁寧な説明と合意形成が重要 - その他:
・管理組合の運営に関する法律や条例は複雑であり、専門家のアドバイスが必要
・マンションの特性(築年数、規模、住民構成など)によって、適切な管理方法が異なる。
・管理組合は区分所有者の共有財産を守るための存在。区分所有者全員が積極的に参加することが必要 - まとめ
マンションの管理は、区分所有者全員が協力して、主体的に取り組むべき課題であり、今回の会議で得られた知見を活かして、より良いマンション運営を目指していくことが重要である。
令和6年3月16日 開催座談会 2班「マンションの大規模修繕における見積もり、業者選定、長期修繕計画」の要約
見積もりと業者選定:
・複数社からの見積もり比較: 国土交通省のガイドラインに沿った見積もりを複数社から取り比較検討
・専門家の活用: 一級建築士などの専門家に客観的な評価
・保証の確認: 施工業者だけでなく、メーカー保証も確認し、長期的な品質を担保
・区分所有者の参加: 工事の進捗状況を定期的に確認するため、理事、区分所有者が現場に足を運ぶことが望ましい。
長期修繕計画:
・柔軟な計画: 建物の状況や住民のニーズに合わせて、計画を柔軟に見直す必要がある
・専門家のアドバイス: 建物の寿命や維持管理について、長期的な視点での専門家の意見を聞く
・区分所有者への説明: 計画内容を区分所有者に分かりやすく説明し、合意形成を図ることが大切
参加者の意見のまとめ:
・専門家の重要性: 一級建築士やコンサルタントなどの専門家の意見を参考に、より良い判断をすることが重要
・透明性の確保: 見積もり内容を詳細に開示し、区分所有者への説明を徹底することで、信頼関係を築く
・長期的な視点: 建物の寿命を考慮し、長期的な視点で修繕計画を立てることが大切
・区分所有者の協力: 管理組合の運営に積極的に参加し、意見交換を行うことで、より良いマンションづくりに繋がる
課題と今後の展望:
・区分所有者の意識改革: 管理組合の運営に積極的に参加する区分所有者を増やすことが課題
・専門知識の習得: 管理組合の役員が専門的な知識を習得できるような機会を設ける
・費用対効果のバランス: 長期的な視点で費用対効果を考え、最適な修繕計画を立てる
・建物の寿命と建て替え: 建物の寿命を考慮し、建て替えも含めた長期的な計画を検討する
まとめ:
マンションの大規模修繕は、区分所有者全員が協力して取り組むべき課題である。
専門家の意見を参考に、区分所有者の合意形成を図りながら、長期的な視点で計画を進めることが重要